りんごの皮むきライブショー
とある日のお昼休み。加藤煙火の事務所の一角が賑やか。
「こいつの出番だな」倉さんが嬉しそうに抱えてきたのは、小さなミシンのような形をしたアップルピーラー。これからりんごの皮むきミニミニショーが始まるのだ。
りんごのおしり部分を針に刺して固定したら、ハンドルをくるくると回すだけ。赤いリボンのようにするすると皮がほどけて、ほんの数秒で淡黄色の果実に変身する。りんごのさわやかな香りが漂う。
この皮むき器、既存メンバーにとっては、頂き物のりんごや梨があるときには登場する“おなじみのやつ”。でも、この日は初めてりんごのライブショーを見た観客たちから、わあっと声があがる。加藤煙火は、先月今月と相次いで女性メンバーを迎えたのだ。
Disarming smile
Army（軍隊）に、後に続く言葉を打ち消すdisがつくと、武装を解除させるの意味になる。Disarming smileは緊張を解く、安心感を与えるような笑顔、といったところ。笑顔を表すのに軍隊を持ち出すなんて、なんとも英語的な表現。というのはさておき、10月に入社した通称りんちゃんはまさにこれ。笑顔で、行動で、空気を柔らかくしてくれる。
入社して1週間目のりんちゃん。勤続9年のみえさんとがっちり肩を組みながら、作業場に歩いて向かう姿を目撃。なんなら小柄なみえさんの肩をぽんぽんしていた気もする。
「みえさん、がんばっていきましょう～、ねっ！」
「そうだねえ」そんな会話が聞こえてきそう。
微笑ましい光景につい足が止まる。自然と深く息を吸い込むことができて、吐き出すときに初めて肩に力が入っていたことに気づく。後ろ姿でりんちゃんが笑っているかどうかなんて見えない。それでも背中越しに見たりんちゃんの姿にdisarmedされてしまうのだ。
会社の平和度が上がった、そんな声も聞こえてくる。りんちゃんが吹き込んだ新風が、加藤煙火全体に広がっていく。
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