≪インタビュー / CASE STUDIES / 祭礼・手筒花火≫
三谷花火有志会 中野博さん
愛知県蒲郡市三谷町では、300年の歴史がある三谷祭が行われており、町の方々の生活に根付いています。大人も子供も一緒になってお祭りをやって、みんなが繋がって行きます。2020年春、その三谷祭が始まって以来初めて、神事のみの執り行いに縮小されることが決定。中野さんたちの奮闘はここから始まります。
なぜ今回の花火を打ち揚げたのですか?
お祭りも町の行事も中止になって、町に元気を取り戻したかったのが始まりです。2020年春頃は緊急事態宣言もあり、町が閉塞的になっていました。そこで、みんなが上を向けるようなことをしたいと考えたら、花火しかありませんでした(笑)
三谷町にこだわったのは、小さなコミュニティーから元気にすることを始めたかったからです。小さくやる、ということにこだわりました。
資金については、お金を出せる人が出すのではなく、三谷に住んでいる人たちの気持ちを集めて、誰もが自分の花火だと思えるようにしたかったので、金額設定せず、募金箱も多く設置しました。住んでいる人たちが自分たちの町のために、協力するということをしたかったです。
準備で大変だったことや、工夫したことを教えてください。
お祭り以外で花火を上げるのが初めてのことだったので、準備は大変でしたよ。賛同者、資金の調達、同意や許可、その他いろいろ。募金箱設置は、飲食店の方が提案してくれて始まりました。元々手筒が馴染んだ町だし、神事でお祭りと関係があるし、募金箱は手筒の形で作りました。それを三谷の飲食店を中心に市内60店舗に設置させてもらいました。
また、高額協賛者さんには返礼品として悪疫退散の札付き手筒の模型をプレゼントしました。予想以上に協賛を頂き、これを作るのも大変でした(笑)コロナ禍なので、頻繁に集まったり、有志会を大きな集団にしたりすることもできませんでした。いつもみたいに仲間を誘うこともできず、どこまで巻き込んでいいのかも考えました。だからこそ、1人でも多くの人が募金1円からでもこの花火に協力できて、打ち上がる花火が自分の花火だと思えるようにしたかったんです。
花火を打ち揚げてみて、どうでしたか?
花火が良かったのはもちろんですが、協賛集めの時期から町の雰囲気が変わった気がします。自分らの世代が動くことで、上の世代の人たちも協力してくれました。今回の花火に限った話ではなくて、若い人、がんばっている人たちを町中で応援する雰囲気に繋がったように思います。もともとそういう町ですしね。
協賛のお願いをしている時に、いろんな人が協力してくれた。地域限定の告知って簡単ではないんですが、口コミで広がって。元々お祭りネットワークが強い町なので、良いことが良く伝わります。これは三谷だからだと思いました。お祭りが強く残っている地域では、どこもこんな雰囲気になるんじゃないかな?
当日の町の雰囲気は良かったです。来年も頑張ろうと思えました。半月経った今でも、よかったねー、と町の人が声をかけてくれます。やってよかったです。
これからの町やお祭りについて、考えていることはありますか?
また、お祭りの参加者が減っているという町の問題が以前からありました。今回の花火で、お祭りの継承の新しい形が提案できたかもしれないと思います。三谷は小さな町ですが、その中でいくつかの区に別れてお祭りを運営しています。別々で運営するべきところは残しながら、一同にやって効率化できる部分もあると考えていました。そして今回、みんなでやってみて、とてもうまく行きました。お祭りって、地域の繋がりを作る大切なものですからね。残していきたいと考えています。
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